【院生投稿】久保知生さん(OSIPP博士前期課程・早期修了プログラム)
2023.6.13
【院生投稿】久保知生さん(OSIPP博士前期課程)
私は2023年3月に大阪大学法学部国際公共政策学科を卒業し、4月からOSIPPの博士前期課程に在籍しています。今回は、私が大学院に進もうと思った理由や、研究テーマを紹介したいと思います。(写真:友人と訪れた三徳山三佛寺の投入堂)
大学院進学を決めた理由
私が大学院進学を決めたのは、学部2年次の夏休みで、新型コロナウイルスの感染拡大のため、課外活動の制限を余儀なくされてしまった時期です。進学を決めたきっかけは2つあります。
1つは学部ゼミの影響です。阪大法学部は2年次からゼミが始まりますが、私が所属していた小原美紀先生(OSIPP教授)のゼミには大学院進学を目指している先輩が多く、大学院に対する関心が自然と高まりました。また、小原先生も大学院進学を積極的に勧めており、大学院の話を頻繁に聞いていたことも大きな一因です。もう1つは授業で指定されていたテキストの影響です。私は2年次の春夏学期にミクロ経済学の授業を履修していたのですが、そのときのテキスト『ミクロ経済学の力』(神取道宏著・日本評論社)に魅せられました(ちなみに表紙がとてもカッコイイです)。このテキストは数式を多用することなく大学院レベルの内容まで説明してくれており、この本のお陰で経済学の面白さを知りました。そこで、大学院まで進めば経済学をもっと深く学べるのではないかと思ったのです。
コロナ禍で課外活動が思うようにできないこともあり、学部生の間は勉強に集中して大学院に進むのも悪くないのでは、と考えるようになりました。
OSIPPに決めた理由
進学先をOSIPPに定めた理由として、研究分野と博士前期課程早期修了プログラム(以降、早期修了プログラム)の2つが挙げられます。
まずは研究分野についてですが、上述の通り、2年次に経済学に魅せられた私は、まずは経済学研究科への進学を考えました。ただ、経済学を学びたいという意欲は強い一方で、その分野で研究したいテーマは特になかったのです(笑)。そこで、経済学のみならず、政治学や法学についても学べるOSIPPに進めば、経済学の理論を勉強しつつ、他の分野の研究も可能だと考えました。その後、3年次・4年次の授業やゼミで様々な論文を読み、政治分野の実証研究に関心を持つようになりました。次に早期修了プログラムについてですが、阪大法学部の学生であれば、この制度を利用することができます。早期修了のパターンはいくつか存在しますが、私が申請したのは学部4年次と博士前期課程1年次の2年間で修士号を取得するコースです。学部4年次にOSIPPの授業を10単位まで履修し、単位を持った状態で博士前期課程に進学することができます。早く大学院の授業に出たい、かつ2年間も博士前期課程に在籍するのは長すぎると感じていた私にとって、早期修了プログラムは最適な制度でした。(通常より1年早く博士前期課程を終えることになるので、勉強量が減るというデメリットはあります。賛否両論だと思います。)
以上の理由から、私はOSIPPに進学することに決めました。
研究内容
私は女性の政治代表(Women’s representation)という分野に興味を持っています。有権者の男女比はほぼ1:1なのに対し、女性の政治家の数は男性の政治家に比べて著しく少ないという現状に違和感を覚えているからです。
私が焦点を当てているのは、政党はどんな時に女性候補者を立てるのか、ということです。“感染効果”と呼ばれる説があります。ある政党が女性候補者を立てることで、その他の政党も女性候補者の擁立に積極的になるというものです。しかし、それに関する実証的な分析は多くありません。そこで、私は日本の衆議院議員選挙に注目し、女性候補者が当選した選挙区では、次回の選挙で本当に女性候補者が増えているのかを明らかにしようと考えています。
今後について
OSIPP修了後は、民間の事業会社で働く予定です。幸いにも、これまで勉強してきた統計学や計量経済学を使う仕事に就くことになりました。
OSIPPの学生はシンクタンクに就職する方が比較的多いのですが、その他の企業でも大学院で学んだことを活かせる職業はあります。また、一般的に文系大学院生の就職活動と言えば、学部生より厳しいという印象がありますが、大学院で行う研究も立派な「ガクチカ」になると思います(むしろ、学部学生と差別化ができるところです)。私の場合は、政治や労働における男女格差に関心があること、そして学部時代からそれらに関するテーマの論文を書いてきたことを評価していただきました。
就職後には分析結果が示唆することを会社内で正しく伝えられるよう、この1年間で統計学や計量経済学に対する理解を深めたいと思います。
(OSIPP博士前期課程 久保知生)